HC-88(タッチ16キーボード)
今回はEPSONのハンドヘルドシリーズの最後を飾るにふさわしいHC-80系です。
(ビクターのMSXのHC-80やカキ氷機のHC-80ではありません)
はっきり申し上げまして、やりすぎやろ感に満ち溢れるスーパーハンドヘルド機のHC-80の紹介です。
機能があり過ぎて説明しきれない程のパソコンでした。
HC-80シリーズは、全部で3種類リリースされています。
HC-80・・・使用出来るフォントは「カナ」「英数」、キーボードがJIS配列。
HC-88タッチ16・・・上記フォントに加えて「ひらがな」「漢字」、キーボードがタッチ16。
HC-88JIS・・・上記のフォントでキーボードがJIS配列。
ややこしいですね。
判りやすく言えば、HC-80に日本語処理機能を持たせたのがHC-88です。
一見すると一昔前のワープロ機みたいでしょう?
実は、普通にワープロとしても扱えるのです。
パソコンとワープロは、機械的に見れば90%は同じと言ってもいい程ですから、ワープロをハードウェア的?に実装したポータブルコンピュータと言えます。
当時のパソコンユーザーは、ワープロとパソコンの違いを正しく認識していましたから、パソコン上でワープロがソフトウェアとして動作する事に違和感はありませんでした。
しかし残念な事に、中々世間では違いを判ってもらえなかったのです。
ですから「こうすればワープロ機能ですよ」「こうしたらパソコンですよ」といった線引きをメーカーがしてあげてた、と解釈して下さい。
そもそも日本にはタイプライタ文化がありませんでしたから、こういったキーボードの文化が浸透するまでに時間が掛かったのです。
そのためのステップとして、ワープロ専用機なるパソコンの機能をわざわざ限定する滑稽な機械が販売されていたのです。
海外では、元々パソコンは計算機の延長で、入力デバイスとしてタイプライタをヒントにキーボードを実装した歴史がありますから、流れは自然だった様です。
パソコンはプログラミング出来る計算機で、その機能の延長上に文字の出力機能がある、と。
前置きが長くなりましたが、HC-80系が市場に出る時、ワープロと混同される事を前提に計画された気がします。
混同されても良い様にワープロ実装。
混乱を最小限にする為切り替えを簡単に。
すべてをマニュアルを見て出来る様に。
(サポセン困るし)
最悪でもワープロとしておじさんに使って貰える様に。
判る人が判らない上司に上手い事言って、スムーズに職場へパソコンを導入して貰える様に(笑)
え?部署が電子計算部?
大丈夫です。
日本語スーパーカルクなる表計算も出来ますから。
凄いなEPSON。
全然コンセプトと違っていたらごめんなさい(笑)
でも、当たらずとも遠からずでは?
そんなこんなでHC-80は、恐ろしいまでの機能が満載されているのです。
まずは、OSとしてCP/M。
当時はまだOSの実装が稀でしたから、これは画期的な事です。
そして、OSの管理下でBASICを含めてすべてが動作します。
これで当時の一般的なパソコン使いが操作する事が出来ます。
(当時は最低でもBASICでプログラムが組める事をパソコンを使えると言った)
これでオフィスでの最低限の作業はこなせます。
パソコンを使う目的での購入者も満足です(笑)
もっと高度に活用したい?
大丈夫です。
そんなユーザーの為にマシン語もサポートされています。
ただしHC-88の場合は、底を開けてROMを交換しなければなりません。
「え〜そんな事をいちいちユーザーにやらせるの?」ですって?
あなたは間違っています。
少なくともそんな事、当時マシン語を使うユーザーのレベルからすれば、逆にウハウハです。
もうソソられる事請け合いで、EPSONはわざと狙ったんじゃないの?と言いたくなる程、オイシイ事をユーザーにやらせる作戦です。
皆、ロハでROM交換する楽しみを味わえると喜んだはずです。
ROMカートリッジじゃないですよ?
素で普通のROMです(笑)
(一応申し訳程度のプラパーツは付いている)
先の表計算もROM交換。
とにかくROMからメモリ上の仮想ディスクへロード。
(CP/Mで)
すばらしい柔軟性。
(ROM交換で)
と言うか、マニアが喜ぶ機能満載。
ROM交換を採用したのはフロッピー普及前で、短時間で必要な機能を飲み込ませる事が出来た為だと考えられます。
「ROMって静電気で破損するんじゃないの?」
その通りです。
だから、ROMの扱い位は説明しなくても普通にやるんですよ、当時のユーザーは。
やれない方が不思議がられます。
あ、あまりに機能があり過ぎて、タッチ16の説明すら出来ていません。
これは別項に別けた方が良いと思いますのでいずれまた。
【文章:銀牙】
先の紹介でHC-80はマニア向けな商品であった事がご理解頂けたと思います。
となれば、トドメとばかりに変形機能まで標準実装です。
では、その変形ぶりを見てみましょう。
戦闘形態。
頭部が収納されます。
頭部は変形するとボディと一体化します。
つづいてシールドが脚部を覆い始めます。
シールドもボディと一体化されます。
スタビライザーが伸びてきます。
スタビライザーが出ると飛行形態になります。
フライングモードです。
ほらポータブル。
またマニュアルも恐ろしく豊富な上、詳細まで丁寧です。
EPSONは国民機時代も丁寧なマニュアルでしたが、この時代は更に凄いです。
本体に負けない程やりすぎています。
BASICやCP/Mの解説は当然、本体のシステム構造から、ハードウェア、命令実行までの流れ、プログラミングのイロハまで。
(驚いた事にデータ通信の仕組みまで解説しています)
日本語入力の操作方法も丁寧で、ワープロに関しては、一般事務所ならば作成するであろう内容は、片っ端から例文があります。
表計算も一般的な事から接待を想定したのか勘違いしたのかゴルフのコンペまで。
解説本を出す隙間すら微塵も有り得ない濃い内容となっています。
開いた本を間違えたのかと思った程です。
(それでも解説本は発売された)
その分、分厚くて冊数多いです。
1機種にここまで力を入れるなんて、現在では考えられない事です。
でも何故Errorは、HC-20と同じく省略形なんですか?
(例:SN Error in xxxx)
確かにマニュアルに互換性があると書いてありますけど・・・
しかし、後続機はいずれもHC-20以上のヒットにならないのがEPSONの辛い所でした。
でも、商業的に(EPSON以外も含めて)ハンドヘルドがHC-20以上にヒットしなかった最大の理由は、ポータブルを求めていたユーザーは、最初に全員HC-20を買っちゃったからでは無いのでしょうか?
【文章:銀牙】(2009年4月10日)
パンフレット(主力はHC-88でした)
| CPU | Z80(2.4MHz) |
| ROMBASIC | あり |
| RAM | 64KB |
| VIDEO | - |
| 表示 | 400x60(LCD2色) |
| 音源 | 単音 |
| FDD | なし(外部オプション) |
| HDD | なし |
| 定価 | 298,000円 |