CASSIOPEIA A51
CASSIOPEIA Aシリーズは、WindowsCE1.0を搭載するハンドヘルドPCとして、1996年に先ず英語版がリリースされ、翌1997年には日本語版のWindowsCE1.01を搭載して発売されました。
日本語版WindowsCEとしては、A50とA51が国内初となります。
(海外モデルはA-10、A-11、A-20)
WindowsCEは、本来組み込み型(制御用)OSであり、パーソナリティユースのOSかと言えば、それに限定されたものではありません。
GPSに代表される機器の制御にも利用され、液晶画面をタップする事で入力を行うものが多くなっている事から、タップしやすくする目的で、スタイラスと呼ばれる専用のペンが用意されています。
かつてのPenDOS、現在のWindwos Tablet PC Editionと似ていますが、組み込み型OSの為、OSはROMに焼かれています。
(一部の機種はFlash ROMに書き込まれているものもあります)
これらのハンドヘルドPCはH/PCと記載され、かつてのHC-20に代表されるハンドヘルドとは完全に区別されています。
(WindowsCE1.0搭載のハンドヘルドの事をHandheldPC1.0と呼びます)
初期のWindowsCE(Ver.1.0等)は、モノクロ画面だけを想定したものであり、カラーはサポートされていません。
従ってディスプレイには、モノクロ反射型FSTN液晶を採用していました。
この液晶は暗がりでの視認性は悪いのですが、日差しの強い野外では透過型液晶以上なので、持ち歩く事を想定していたハンドヘルドPCに適していたのです。
今日では、日差しの強い所でも使用出来る両用型の「半透過型液晶」を採用する端末が出ていますが、当時には存在していません。
モノクロ反射型液晶を採用する事は、バックライトの不要を意味します。
携帯型端末において、稼働時間は重要なファクターであり、この選択は当時としては自然でした。
(暗い場所ではサイドライトを点灯可能ですが、あくまで補助的なもの)
CASSIOPEIAのAシリーズは、WindowsCE初期よりリリースされていたモデルである為、全機種がこのモノクロ反射型FSTNを採用しています。
後にWindowsCEがVer.2.0へと進化し、カラーをサポートしても仕様を変更しませんでした。
他メーカーがカラー化への道を歩んだとしても・・・
この為、販売面で押しが弱くなった事が災いとなり、晩年低価格で投げ売りされる事となりました。
CASIOがカラー化をしなかったのは、バッテリー駆動時間を考慮しての事でした。
当時のNECも一部でモノクロ反射型FSTN液晶のMobileGearUをカラー仕様と平行して販売する等、多様化するユーザーに対応していましたが、CASIOはついに最後までモノクロ一本でした。
これは、企業力(パソコン部門)の差かもしれませんが、敢てこの場では「男」と取っておきましょう(笑)
そんな硬派なモデルがCASSIOPEIA Aシリーズなのです。
実際は、電池駆動が売りの機種であった為の選択と思われますが「男」です。
軟派なユーザーには決して媚びません。
だけど、時代はパソコン市場がマニア層から一般層に移行していました。
この辺りの市場を読み切れなかった事でハンドヘルドPCとしてのCASSIOPEIA Aシリーズは終演を迎えます。
しかし、それで良かったのかもしれません。
何故ならH/PC企画そのものが失敗として終わるのですから・・・
話をハードウェアに戻しましょう。
これらWindowsCE機はハードディスクを持たない為、本体メモリの一部をディスク領域として併用します。
ディスクを持たない事で消費電力を押さえ稼働時間を稼ぐと共に、落下時の衝撃でデータが破損しにくいというメリットがあります。
反面、データがRAM上に存在する事から、電池が完全に干上がれば、すべて消えてしまいますし、落下時に電池の接触が切れてしまえばそこまでです(笑)
しかし、ディスクが無い事で軽量であり、同サイズのLibrettoよりは携帯性で勝っている事が特長でしょうか。
さて、A-50とA-51の違いですが、搭載するメモリの差のみで、A-50が4MB、A-51が8MBでした。
たった8MB?と思われるかもしれませんが、登場時、端末と割り切っての運用を想定していた為です。
出先で打ち込んで自宅あるいは会社のパソコンとデータを同期させる、といった活用方法です。
今日の端末の様にMP3プレーヤーにするとか、ビデオやワンセグといった事は、全く想定されていなかったので、大変潔い仕様です。
発売当時のメモリ価格から考えても、発売価格を大きく左右する要素でしたので、各社メモリ搭載量の検討に苦労したと思います。
この時代の一般家庭用デスクトップでも、多くは16MBでしたから、このサイズの端末で4MBや8MBというのは仕方がなかった事でしょう。
実際発売すると、各メーカーもメインメモリとディスク領域の併用で、4MBでは少なすぎた事に気が付くのですが(苦笑)
しかし、この少なすぎるメモリを如何に使いこなせるか?という試みに燃えるユーザーを生みました。
(やっぱりか!)
そして、本来の購入目的そっちのけで、セッティングに明け暮れ、ネットやパソコン通信で公開する事が流行しました。
(またか!)
また、A-50とA-51はWindowsCEのROMを有償交換するサポートにより、WindowsCE2.0にバージョンアップする事が出来ました。
バージョンアップしたものは、それぞれA-50up、A-51up、A-51Vupと呼ばれ区別されています。
A-51Vは、A-51のクロックアップ版で周波数がA-50、A-51の40MHzに対して倍の80MHzで駆動します。
(OSはWindowsCE1.01のままで2.0への有償アップグレード対応)
A-51Vに最初からWindowsCE2.0を搭載して販売されたものがA-55Vです。
A-60は、WindowsCE1.0規格(480x240ピクセル)を引きずっていた関係で、解像度が狭いA-5xシリーズからWindowsCE2.0でサポートされた640x240ピクセルに対応する為、ディスプレイ部分を変更したモデルです。
しかし、電池駆動に拘ったのかWindowsCE2.0で新たにサポートされたカラーに対応せず、モノクロ反射型FSTNを採用していました。
【文章:銀牙】(2009年8月17日)
まずは本機の普及について考えてみましょう。
クールで酷な言い方になりますが、理由としては投げ売りです。
反論もあろうかと思いますが、やはり冷静に見てもこれが最大の理由になります。
私も秋葉原の路上で処分価格で売られているCASSIOPEIAは気になって仕方がありませんでしたもの。
これが普及に貢献した事は疑う余地がありません。
そして数年後のHP200LXの生産終了も少なからず影響を受けたと思います。
事実、200LXのオーナーで乾電池駆動に拘った方からの移行はありました。
(大部分はLXの名前を継承したHP製CE機に流れたとしても)
これが第一次普及期。
そして後年、第一次に普及した事で中古市場に多く出回った為、やはり低価格で入手可能となりました。
搭載OSがWindowsCE1.01で非常に使いづらい事も中古市場に多く出回る理由です。
(A-50、A-51、A-51V)
OSこそ違いましたが、ハード的にはほぼ同性能だったPsion Series 5が、普及率から高価格を維持しているのと正反対にCASSIOPEIAで特にWindowsCE1.01搭載機は、2009年現在、平均相場が1,000円程度です(笑)
これだったら遊んでもいいかなぁって価格です。
1,000円で買えるという事は、すぐに売れば1,000円で売れるという事。
それほど躊躇(ちゅうちょ)せずに手を出せますね。
こうして供給過剰気味となっています。
これで多くの人の手に行き渡る土壌が形成されました。
多くの人に普及する事は、この機種を掘り尽くそうとするユーザーを生む事になります。
活用するユーザーがある一定量に達すると、後に続こうと触手を伸ばすユーザーは出るものです。
とはいえCE機。
活用するにはアクが強すぎます。
大したスキルは必要ありませんが、それでも大多数と比較すれば少数派のH/PCです。
今となっては入手可能なアプリも少なく、メーカーさんも本機のサポートを打ち切っています。
関係ないですが、以下のメーカーサポートページを見て下さい。
リンクを辿って行くと・・・思わず笑ってしまいます。
Club CASSIOPEIA(別ウィンドウで開きます)
って、たらい回しの挙げ句これかい!オイ!(爆)
さて、本題に戻ります。
本機をしつこく愛用している人は・・・
こんな状態を楽しい事だと笑える人(笑)
壁に絵を飾りたいだけなら、絵を買って来ればよいのに、わざわざジグソーパズルを完成させて飾る事に喜びがある様に、全世界のwebに断片的に散らばった情報をかき集めて自分のマシンを仕上げる喜び。
それを思い通りに動かす自分だけの達成感。
もちろん、マシンの貧弱さも素敵なスパイス。
そんなちょっと間違った私の様なユーザーも居るでしょう。
もちろん、この機種最大の特徴はPsion
Series 5の項でも書きました電池駆動にあります。
単三アルカリ電池で25時間の連続稼働!(節電して・・・)
WindowsCE2.0を搭載する機種ともなれば、他のメーカーが筐体を大型化する中で、1.0規格のサイズを堅持し続けた本機のメリットは一層色濃く表れます。
それでもPsion
Series 5と比較すると大きめ
キーボード搭載機としては比較的小型の部類に入り、電卓のCASIOを思わせるキートップは決して大きくはありませんが、ピッチそのものはPsion
Revo同等です。
また、H/PC自体使用するキーの数が通常のWindowsより少ない為、Librettoと比較するとキーピッチが広く、予想外にタイピング出来ます。
H/PCはキークリック音を鳴らせる為、CASIOの電子手帳DK-E800同様にタイピング感があります。
このキーボードは打ち辛そうに見える為、かなり騙されます。
電源を投入せずに押すと音がしない為、やっぱり騙されます。
私も見た目に騙されていたクチでした。
最後に・・・
今の時代、これらの機種を使おうとするならば、保守用にパーツ取りマシンを確保したくなるのが人情です。
1台あたりの単価が安いという事は、予備機を確保するごとに価格差が開いていきます。
これはオールドPCを愛用するには大切な事です。
【文章:銀牙】(2009年8月20日)
パンフレット
1997年7月10日発売
| CPU | SH3(40MHz) |
| ROMBASIC | - |
| RAM | 8MB(ディスクと兼用) |
| VIDEO | - |
| 表示 | 480x240(モノクロ4階調) |
| 音源 | SoundBlasterPro互換 |
| FDD | - |
| HDD | - |
| 定価 | 88,000円 |